窓から差し込んでくる朝日のような存在、私の友人、マーガリートの事

この頃やっていること

この度の自宅待機のおかげで、家の中の整理に励んでいます。出てくる写真を眺めたり書類を分類したりで、かなり時間がかかっていますが、時間はたっぷりあります。書いたものが多く出てくるのは、私はやはり、書く事が好きなのでしょう。

ときどき、ピアノを弾いてみたくもなりますが、それはやはり私の好きな事ではないようです。久しぶりに弾いて、ちょいちょい、つかえるのを聞いていた夫が「作曲の才能があると思えばいい」と慰め(?)てくれました。聞かされてよい迷惑なのでしょう。でも絶対に人前では弾けない私ですから、その私の演奏(?)を聞ける夫は光栄と思わなければなりません。

昔書いた原稿

今回見つけた昔書いた原稿に次のようなものがありました。原稿用紙の時代のころです。

「マーガリートの再婚

真夏のカリフォルニアの太陽がぎらぎらと照りつける芝生で、私達は結婚式が始まるのを待っていました。やがて若草色のウエディングドレスにベールの代わりに生花(せいか)を頭一面にちりばめたマーガリートが入場してきました。彼女はこれ以上ほほ笑みきれないというほど、照りつけている太陽よりも輝いていました。35歳には見えません。

一番前には42歳の新郎デニスがタキシード姿でそわそわ待っています。その横には、オレンジ色、クリーム色とすべてシャーベット色に統一したロングドレスの付き添いの少女達とその色に合わせたワイシャツの付き添いの少年、彼らは、マーガリートの娘達であり、デニスの実の息子なのです。

18歳の時に結婚した彼女は15年後、夫が彼の秘書と恋仲になり、離婚され、デニスも先妻が、近所の男性を好きになり、離婚した、両方とも相手に去られた犠牲者でした。その間には想像もできない、煩悶、経済的苦しみ、いろいろな事があったようです。先夫の両親は心の優しいマーガリートの方に味方をしていて、この結婚式にも出席してくれていたのです。

ただ二人の属する教会は、再婚者の司式はできないという規則で、友人の広い裏庭を借り、ドレスも再婚者であるため白は着られず、ベールも被ってはいけないというしきたりにのっとり、すべてがシャーベット色使用とされたのです。

そして一年、子供達が慣れるのに少し時間がかかったそうですが、とても幸せそうです。最近私は、二人の車に乗せてもらう羽目になりました。大きな車でドライブするデニスの隣にマーガリート、そして私も前列のマーガリートの横に三人で座りました。

驚いたことに、フリーウエイを走る時にもデニスは右手の片手運転、左手は、交差して、しっかりとマーガリートの右手を握っているではありませんか。二人はもう絶対に離れる事はないでしょう。」

その後

その後もマーガリートとは、ロサンゼルスでの職場で一緒でしたが、私達は北カリフォルニアに引っ越して、その間に一回くらいしか会えませんでした。25年後、ロサンゼルスに帰ってきたこのごろは、ちょいちょい夫婦でランチをするようになりました。シニアになった彼らは今、ますますおしどり夫婦です。会う時には必ず、二人とも着るものの色を揃えています。

デニスはマーガリートの事を「She is just like the sunshine from the window(彼女は窓から差し込んでくる朝日のような存在です」と言います。本当です。なんと素晴らしい表現でしょう。そんな友人を持っている事を誇りに思います。

最近、家の外にも中の廊下にも暗くなると自然に点き、明るくなるとセンサーで消える電灯を取り付けました。いくら近くの電灯が点いても自然の光でないと、消えないのです。朝、太陽の光が出てくると消えるのです。マーガリートの存在は暗闇で輝く存在です。その光で、フェイクな電灯を消してしまいます。

離婚直後、前夫からの仕送りが遅くて、電気が止められそうだと、一緒に働いていた私達に話しながら、彼女は、「その事ではなくて、そうまでする彼(前夫)を憎む気持ちになる自分が許せないの」と会社のエレベーターの前で語った彼女の姿を思い出します。

もうデニスは80歳を過ぎました。どうぞこのすてきな友人夫妻を最期まで守り続けてくださいますように、と祈らざるを得ません。

と書き終えて彼女に電話をしたところ、先月、デニスはアルツハイマーと診断されたというのです。でも信じています。窓から入ってくる朝日のような彼女は彼を励まし続けることでしょう。

竹下 弘美


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“窓から差し込んでくる朝日のような存在、私の友人、マーガリートの事” への2件の返信

  1. 私ね、素晴らしいご夫婦の話を聞くと、物凄く感動するのです。
    今も読み終えたら涙が滲んでいました。
     お二人共、相手がそういう風に去っていって、どんなに苦しかった事でしょう。でもそれを乗り越え、お互い素晴らしい人と巡り合い、今はとてもお幸せ。ご主人がアルツハイマーになられたとしても。
     

    1. マーガリートはとてもスイートで、ご主人が惹かれた女性( 再婚相手)はちょっと意地悪いぽい人だったようです。ですから、私もなるべく夫にスイートにしないようにしています。????

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