不妊は怖くない

子供を作るという言葉

周りで赤ちゃん誕生が続いている。どの夫婦にとっても新しい生命の誕生は、喜ばしいことだし、特に長らく待って授かったのだったら、その喜びは一入だと思う。というのは私達がそうであったから。

結婚直後に渡米。生活が安定するまでの二,三年、子供は持つまいと思っていたがいざ、ほしいとなったらなかなか与えられなかった。長男の嫁に子供がいないということは韓国人の姑にとっては私達が察する以上に大変なことであったらしい。

こちらで何人もの不妊症専門医にかかっただけでなく日本に行ってまで、女子医大の不妊専門医や漢方薬の先生にも行かされた。

高価な鹿の角のスライスを煎じて飲まされた。夫も私も何も悪いところはないという。医者のアドバイスはハワイにでも行ってリラックスしなさいというものだった。

そのころ「子供がいないと寂しいでしょう?」とよく言われたが、私達はそれがふつうだったから、寂しいと感じたことはなかった。けれどそろそろ友人のベビーシャワーに行くのがつらくなってきていたのは事実だ。

自分には到底おこりえないことだと思っていたからだろう。猫の子のように誰かがドアの前に子供を置いていってくれたらいいのにとさえ思っていた。よく子供を作るという言葉をきくが、私は自分の経験から、決してその言葉は使えなくなった。というか、その言葉を聞くとぞっとする。

人間の力の過信を感じる。生命は作ろうと思ってできるものではない。昔から、授かり物というが本当にそうだと思う。 いくら体外受精をしようが、生命は創られるというべきだし、その漢字をあてはめるべき、神様の領域ではないだろうか。

アメリカでの検査では最後の子宮に外から穴をあけてみる検査だけが残っていた。なんとなくその最後の検査を延ばしていた時に妊娠とわかった。自分達の血にこだわらずに親を必要としている子供がいるなら、アダプトすれば良いではないかとその準備を始めようとしていた矢先でもあった。

なぜ妊娠したのか考えてみると、その時にやったことは二人で自転車乗りを始めたこと、寝る時にほんの少しワインを飲んだことくらいで、もしかしたら、血の循環が良くなったのかもしれない。

妊娠がわかった時は信じられなかったし、実際長女が生まれた時にも信じられなく、猫の方がかわいいと思ったくらいだ。なにしろ、結婚してから、十二年もたっていたから。そして、最初で最後と思った妊娠だったが、続いて二年もしないうちに長男が生まれた。

子供をもつ意味

なぜあんなに子供をもつことにこだわったのか、今、子育てを終わってみて、考えてみる。たしかにこの間、娘と息子にNYに会いに行く時、「いいわね。あなたはご主人の分もいれたら、自分以外三人の人生を生きているのよ。私には子供がいないから」と、友人に言われてはっとした。

たしかに子供がいなければ覗けない、味わうことのできない世界はあった。でも今の時代、もう、家を継ぐとか血を絶やさないとかは問題にされなくなりつつある。また、結婚の目的は、昔は子孫を絶やさないことであったが今は違う。

また、子供に老後を看てもらうなどということも、もはや考えられない時代だ。となれば、子供を育てるエネルギーをほかの面に使って、社会に貢献できれば良いではないか。

もし、子供をもって親としての世界をもちたいなら、アダプトの方法がある。いいかげんに子供をもっていいかげんに育てるのだけはやめてほしい。そこにいくと、何人かアダプトされたケースを知っているがアダプトされた子供達は本当に両親から愛され、とてもよく育てられている。

アダプション

いつも一番初めにクリスマスカードを送ってくる友人は日系三世の看護婦さんのキャシ―。エアロビックスのインストラクターでもある。いつも彼女のアダプトした一人娘、レスリーの一年の成長を長々と書いてくる。

レスリーが五歳の時、私が家の子供達と彼女をどこかに連れて行ったとき、彼女の口から自分には三人母親がいると言って、私や子供達を驚かせた。

自分の生みの母は十五歳で自分を生んだから、育てられなくて今のキャシーがアダプトしてくれたとのこと。そのキャシーはその後離婚して、彼女の夫が再婚したから、彼の奥さんを入れると三人母親がいることになるという。

そして、その離婚した父親の新しい家庭、つまり、彼女にとっては何の関係もないようなオレゴン州の家庭に毎夏三人目の母を訪ねていっていた。キャシーはアエロビックスのインストラクターだけあってきびきびしているのに、レスリーは、その体つきからして違うし、運動は一切嫌い。

小さい時は、のたのたしていたし、お世辞にもスマートとはいえないタイプ。それが、キャシーの懸命な子育てで日本舞踊を習い、今はコンピューターサイエンス専攻の大学生になっている。

息子のアイスホッケーの仲間にも二組もアダプトされた男の子がいた。 二人ともお金のかかるアイスホッケーをさせてもらい、ふつうの家庭の子供たちよりもよほど、恵まれた生活(愛情面でも)を送っていた。

一人はアイスホッケーのゴーリーでコロラド大学に進学した。それも毎年夏に親が、アイスホッケーの特別キャンプに多額な費用を払って行かせ、技術を磨かせていたことの成果が実ったといえるだろう。

これからの人類のことを思うと、子供をもつことはできない、と、あえて子供をもたない友人もいる。私も人生の後半に入って、なんと人の一生は短いのか、先が見えてきたこのごろ、子供をもとうが、もつまいが、それは大した問題ではないと思えてきた。

不妊は怖くない。いいかげんな子育てをして、社会に迷惑をかけるような子供を育てるよりも、子供をももたなくても、自分がしっかり台地に根差して、皆に喜ばれる生き方をしていれば。

竹下弘美

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2 Replies to “不妊は怖くない”

  1. Hiromi様
     不妊は怖い・・・ではないですか?
    だって凄いプレッシャーをかけられるでしょうし、なによりも不妊治療がきつくありませんか。
    特に貴女は韓国の上流階級のプレッシャーがおありだったでしょうから。でも良かったですね、最後の酷いであろう検査をされるまえに懐妊されて。しかもお二人も恵まれて。
    一人は親も子も寂しい!!

    1. 一人でも授かってお孫さんもいらして、お幸せな圭子さん

      私の恵みはあなたに十分である って聖書でいってるよ。

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