アメリカでの日本語教育

英語を第一に?

日本から来てこの国に永住するようになった私達、いわゆる新一世にとって子供への日本語教育をどうするかということは子育ての大きな問題だ。 駐在員の方々は、日本に帰るので、日本語補修校に通わせるのは当然だが、私の子供達が学齢期に達したころ、オレンジカウンティの私の周りでは永住組みの子供達も補修校に通っていた。

というより、親に通わされていたという方がいいだろうか。私もできるなら、子供に日本語も自由に読み書きしてもらいたいので、補修校に通わせたいと思ったが、夫との意見が対立した。夫は七歳の時、政治家の父の任務で、家族とも韓国から日本に移住した。

家庭教師から習った「お水をください」という言葉が彼にとっての初めての日本語だったという。その夫曰く、子供にとって言葉に慣れるということは簡単なことだと大人は考えるが、言葉ができないということはどんなに子供にとってつらいことかを味わったというのだ。

それで、私達の子供がアメリカで生きていく以上、まず、英語を第一にすべきだというのが彼の考えであった。

その上で、日本語を本人が希望するなら習うのはかまわないが、日本語を第一にするのはやめるように、アメリカの社会で、アメリカ人と同等の語学力をもつ子供として、育てたいという意向だった。親のエゴイズムを押し付けるなとまで、言われた。

それでも、補修校ではなく、ローカルの子供達の日本語学校だけはアイウエオを覚える程度、行かせたいという私の意見が通り、土曜日の二時間ほどを行かせることにした。ところが、娘も息子も「アイヘイトジャパニース」と言い始め、その上、土曜日には大好きな水泳、サッカーや野球の試合と重なることから、日本語のためにアメリカ人として育つための要素を犠牲にすることが多すぎるとやめさせてしまった。

家の中で、夫と私が日本語を使っているし、日本の親戚に会いに行く時には日本語を使うので、興味が出てきてから、やらせても遅くはないだろうと、あきらめた。もちろん、姉弟の会話は当然英語になっていってしまった。

語学はやる気

ところが、娘は高校の二年になったころ、急に目覚めたかのように、日本語をやりたいというようになった。

ちょうど、高校でも日本語のクラスが開始されたが、日常会話に困らない娘には、数の勘定から始まる初級ジャパニーズはあまりに易しすぎて、物足りなく、ローカルの日本語学校で、単位をくれるクラスに土曜日通うようになった。

ジュニアの夏に大阪カリフォルニアスカラーズプログラムというプログラムで、日本でのホームステイを経験した時には、私の知らない関西弁まで、習ってきた。

そして、なんとSAT2では日本語を受けて、結構良い点をとることができた。入学したコーネル大で日本語をとろうとしたところ、流暢に話せるので、川端康成を教科書に使う、大学院生と同じクラスに入れられてしまい難しすぎて一つ下のクラスに落としたが、素晴らしい日本人の教授に恵まれてかなり読み書きもできるようになった。

私との毎日のeメールもローマ字だが、日本語がかなり入ってくる。これから、インターナショナルビジネスで、太平洋をかけて仕事をしたいという彼女に日本語は必至のものとなるだろう。やはり、語学はやる気ではないだろうか。

私の勤めている日系の会社には、日本語を話し、書くことのできるアメリカ人が多く働いている。皆、テクニカルトランスレイターで、コンピューター関係の日本語のマニュアルを英語に直す仕事についている。彼らのやっている仕事をみるとすごい。

難しい漢字もなんなくこなす。どうして日本語ができるようになったかきくと、「日本に七年いましたので」というようなきれいな日本語での答えが返ってくる。たいてい日本に興味があって大学で日本語を始めたからという。

私達の子供のように、親が話しているのをきいて育っているわけではないのに。我々の子供達はヒアリングができるわけだから、やろうと思ったら、ずっと容易にできるわけだ。

とはいえ、息子の方は娘と違って今のところ、日本には全然興味がないので、日本語を始める気になるかどうかまだわからないが、もし、必要がないのであれば、別にすることもないわけで、親が必死になって補修校に行かせることはないのではないだろうかというのが、私の結論である。

けれどそれはあくまでも私達の場合であって個々の家庭によってどのようにするか、それぞれ意見も違うだろう。

我が家では、日本語のために英語のボキャブラリー不足や英語力不足になってほしくなかったがために、そして、日系人社会でだけしか通用しない人間になってほしくなかったからの方針だったといえる。そして、その目的は達せられていると確信している。

これからこのアメリカの地で、子育てをされる新一世の方の御参考までに。

竹下弘美

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