スローダウンしようよ、ストレスアウトしないように

オフサイトミーティング

先回、ストレス解決法を述べたが、現役時代、勤めていた会社では従業員のストレス解消を考えていろいろ計画をたててくれたことがあったのを思い出した。

経理の決算期が終わった時には毎年、オフサイトミーティングなるものが行われた。社外で行う会議のことをオフサイトミーティングという。

なぜわざわざ社外で会議を行うのかと思うが、会社から社員へのお疲れ様を含め、ストレス解消の一環としてやるのだろう。日本でいえば、会議付きの慰安旅行のようなものだ。

違いはばっちり会議を行うことだ。私は仕事の一部が関連していたために、経理部のオフサイトミーティングに招かれていた。そのミーティングでは、数人が自分の仕事についてのプレゼンテーションを行う。

経理部だけではなく、他の部署の人からのプレゼンテーションもあり、会社が何をしているのか、私達の会社では何を作っているのか、巨視的な立場から自分の仕事がわかるようにと配慮がなされていた。

初めて私が参加した時には、加州大バークレー校のファカルティ(教職者団)センターの一室で行われた。

まず、アイスブレーク((氷を解かす)と呼ぶ、会の糸口として人間関係を円滑にするために皆が持ち寄ったジョーク(しかも仕事に関係のある)を発表し合うことから始まった。

軽い朝食も出た。昼はそこでランチも食べ、昼休みにはバークレーの町をそぞろ歩きして、また会議に戻った。

その翌朝、すぐに上司から、アンケートのe メールが来て、時間、場所、会議の持ち方の是非が問われ、その午後にはアンケートの結果が皆に送られて来て、その迅速さには感心した。

ボディラップ

次の年の会場はサンホゼのファンシーなサンタナロウというショッピングセンターの中のホテルだった。

その時の会議は午前中だけですみ、昼はシンガポールレストランでの昼食となり、その後上役のポケットマネーからのプレゼントで皆、男性も含めてエステサロンのサービスを受けた。

フェイシャルやマッサージ、ボディラップと言う三つのコースがあり、私はボディラップを選んだ。予約時間の前には、サウナやスパが自由に使えるときいていた。受付は若い女性で、こちらをお姫様のように取り扱ってくれた。

備え付けのバスローブに着替え、ロッカーに荷物を入れ、サウナへ。真裸で入ってくる若いOLらしき女性達には度肝を抜かされて、私はタオルを巻いて、逃げ出した。

自分の予約時間になるまでの待合室であるクワイエットルームに行ってみた。そこでは皆静かにリクライニングチェアに横たわっていた。

仮眠をとっている者あり、シリコンバレーのキャリアレディらしき女性が、書類に目を通したりしていたが全く物音がしない。

自分の番が呼ばれて行くと、美しい若い白人女性が、部屋に案内してくれた。こちらの裸体が見えないようにシーツをカーテン代わりにして、自分の目を覆い、私がローブを脱ぐのを待っていてくれた。

次は熱々のラバーのような物を傍らの壺から出して、私の身体全体を包んだ。人間お絞りのような、自分が蚕になったような気分だった。静かな音楽が流れ良い香料で部屋は充満。

顔のマッサージがすんだら、足をマッサージしてくれた。身体はすでにホカホカになっている。三十分はすぐ過ぎ、係の女性は水をよく飲んで着替えるように、自分は外で待っているからと言い置いて私を部屋に一人にしてくれた。

貧乏性の私は、そそくさと着替え、水を飲み、部屋の外に出ると、その女性はあまりにも私が早く出て来たと驚いた。
「いつも大変なストレスの多いお仕事なのでしょう?」とにこやかな笑みで言われ、「いいえ、私の仕事は楽しいです・・・」とつい答えてしまい、相手の期待に反したようだ。

そこに来る人々は皆、ストレスを癒してもらうために来るのだろう。高価なサービスなのに、かなり繁盛しているようだった。私達の上司は十二名もの部下のために千ドル近く払ったのではないだろうか。

急にマザーテレサの映画を思い出した。彼女が彼女の働きを支援するグループの会合にニューヨークに行った時のこと。出されたボトルの水が三ドルもすると聞いて、驚き、そして会議室の借り賃のことも気にした。

それだけのお金があったら、どんなに多くの子供達の食糧を賄えることができるかと、こんな会議にお金を使うことはやめて、自分はすぐに現場に帰って働きたいと訴える場面があった。

私も私達のこの日のエステサロンの経費をインドの貧民街の子供達の食糧に費やしたら、どのくらいの子供達が飢えを凌ぐことができるであろうか、という想いが脳裏をかすめた。

入浴サービス

その直後、母に会いに日本へ行った。介護度3の母の所には入浴サービスが来ていた。三人の若い男女がまず自動車に積んできた浴槽を部屋に入れ、トラックから、長いホースでお湯を入れ、テキパキと担架に母を乗せて、入浴させてくれていた。

若い男性がひとり必ずいるのだが、彼は母の裸体を見ることができないように、大きい布で自分の目を覆っていた。

私があのサロンで経験したのと同じ手法だ。髪も気持ち良く洗ってくれる。見ていると私もやってもらいたくなった。介護保険があれば、一割負担だから、かなり安い。マザーテレサの言葉を思ってもそれほどギルティに思うこともない。とはいえ、介護度ゼロの私の健康体ではこのサービスは受けられない。

介護サービスもエステサロンも必要があるからなりたっているのだろうが、エステサロンはストレスの多い現代病の産物ではないかと思わされる。今は男女を問わず、良い給料、地位を求めてあくせく働いている。その挙句、ストレスアウトしてしまうのではないだろうか。

私は薬に頼ったり、エステサロンに通わなければならないようにはなりたくない。猫を撫でて癒す程度にしたい。

今日もいつもストレスアウトしている娘に「スローダウンしなさい」とeメールした。

竹下弘美

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