Not so many mothers can have this kind of experience, so Enjoy(こんな経験をすることができる母親は、滅多にないのだから、楽しんで)

クルーを迎える

今年も3月のアカデミー賞に向かってノミネート作品などが取り沙汰されだした。息子がNYUのTish Dept(映画制作部)の卒業制作の映画を撮るためにサンフランシスコ近郊の我が家にクルーを連れてきた時のことを思い出す。映画の現場を見たのはその時が初めてだった。

ニューヨークから十四名のクルーを連れてそのクルーが我が家に二週間泊まると言う現実。先に帰ってきた息子と打ち合わせ会議を二回開いた。宿泊のこと、食事のこと、アジェンダはいろいろだ。

十四名だったら、シャワーのお湯が出なくなるのではないかと危惧していたところ、中に犬猫アレルギーの人達がいるため、猫のいる我が家には六名だけが泊まり、後の八名は友人宅二軒に頼むことができた。

食べさせることは我が家でしなければならない。つまり、私が賄い婦をしなければならなくなった次第だ。ニューヨークからサンフランシスコまでの飛行機代だけでも十四名だから多額だ。

そのように映画製作するために、大変なお金のかかりようだから、モテルに泊まったり、外食するわけにはいかない。そのために親戚や友人に一部、ファンドを寄付してもらっていた。

食事は私が責任をもつということ。朝食はバン類ではなく、卵と果物、シリオやエネジーバーで良いという。それは息子がすでにニューヨークでの撮影の際に、経験しているから大丈夫だという。

昼は撮影現場にケータリングを頼むという。これも本当だったら、私にしてもらいたいような息子の口振りだったが、二日間は友人がボランティアをしてくれることになった。問題はディナーだ。

デイレクターの息子曰く、パスタ類やピザは食べさせてはいけないという。そういう類を食べると、デレッとしてしまって翌日、良い仕事ができないというのだ。

私もけっこう教会の若い人達を食べさせた経験がある。けれどそれは、たまのことだった。今回は二週間毎日続くのだ。

恐れおののいている時、映画の一部を撮影した時、同じ経験をした、息子の友人の母親、ジュディと電話で話すようにと息子に言われた。

彼女は、ストレスがかなりたまったといいながら、自分が、出したメニューをeメールで、すぐ送ってくれた。そのメニューを見ると、ミートローフだったり、ローストビーフだったり、息子がだめだといったラザーニアの日さえあった。

彼女は毎日、サンクスギビングのようなディナーにすること、つまり、ターキーのかわりに違う肉を使ってあと、野菜とサラダを作れば良いと言う。

前もってメニューを作っておくこと、また、皆が携帯のチャージをするので、それだけのサーケットもなければならないこと、トイレットペーパーの買い置きのことなど、いろいろ経験からアドバイスしてくれ、最後に「not so many mothers can have this kind of experience, so enjoy」と、にこやかに(電話だが)言ってくれた。

状況をエンジョイする

それはそうなのだが……。いつも子供二人に「状況をエンジョイしなさい」と言い続けている私なのに、今回は恐れの方が先だった。それでもジュディの言葉に励まされ、これは英語でいえば、privilege〈特権〉 なのだと自分で言いきかせている。

そういえば、昔、日本からの学生達のために、食事付き寮をやろうなどという夢をもったこともあったではないか。その私はどこにいったのだろう。

まず、友人達にメールをして、簡単で大量にできるメニューを募集(?)した。協力してくれそうな友人の多くは南カリフォルニアにいる。

手伝いに来ようかとさえ言ってくれるが、ただでさえ、満杯な我が家にこれ以上、人を迎えることもできずに電話によるアドバイスだけにしてもらった。

なるべく、揚げ物などをせずに市販のものをうまく利用すること。そこで、コスコに何回も視察(?)に行った。美味しい物を食べると、何なのか、どのように作るのかなど訊くようにした。

市販の物でもかなりおいしい物があることがわかった。ひとつの収穫はおいしいマカロニサラダを食べたので、作り方をきいたところ、市販のポテトサラダに同量のマカロニと、ゆで卵を混ぜるのだそうだ。

味が濃いので、これでちょうど良い味になるという。BBQにはTRITOPがおいしいこと、チキンカツはもも肉を薄く切って、ふつうの粉ではなく、てんぷら粉をまぶして、パン粉をつけるとおいしいこと等々。

本当はホームレスの給食場に見学にいってみたかったが時間がなかった。毎晩試食をしてみた。カレーに使う肉はいつもオックステールを煮込んで使っていたが、メキシカンのカーニタスを見つけた。

これはすでに肉がぼろぼろに裂けるようになっているから、カレーに最適だ。オックステールを煮込む手間がいらない。一応二週間分のメニューができた。

差し入れを申し出てくれる友人達も出てきて、当初のパニックは少し無くなってきた。またみな「ユーモアをもって忍耐強くね」「健康に気をつけてね」と言ってくれる。いよいよ第一陣が到着。

揚げ物はすまいと思っていたが、おいしい物を食べてもらいたいので、第一日目のメニューはチキンカツとチーズやペパロニの入ったパスタサラダにした。

電話が鳴ってそれに出た息子がもうひとり、車でアリゾナから来ることになったという。その子の写真をみたら、とても大きくて、いっぱい食べそうだ。どうしよう。と思った。

その時、あのジュデイの言葉がきこえてきた。「not so many mothers can have this kind of experience, so enjoy」
そうだ、こんな経験はめったにできない。息

子が映画制作の道を選んだが故に経験できることではないか。そして最中、天候が心配だったり、いろいろハプニングもあったが、とても楽しむことができた。

映画の一シーンにあんなに時間がかかるのかも驚嘆だった。そして、その後この短編映画「シフト」はロサンゼルス映画祭短編映画部門で最優秀賞を受賞した。

竹下弘美

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