親が子供に望むこと

日本往復のフライトの中での映画

先のブログで書いたように、私達家族は皆映画好きだ。いつも日本への往復の飛行機の中では、お土産用のマフラーを編む事もあるけれど、片道最低三本は映画を見る。

このところ、エコノミークラスでもかなり座席が改良されて、映画を見るのが快適になった。

先日も日本に行く時、マイナーの映画だが「Little Prince」(小公女)を見た。それは幼い日、夢中で何回も読んだ小公女の世界に舞い戻ったかのようなひとときだった。

何年も前に飛行機の中で見た映画に、ロバート・デ・ネ―ロ主演の“Everybody Fine”『みんな元気』と言う映画があったが、クイーン・ラティファ主演の『ラスト・ホリデイ』と共に今も脳裏に残っている。

映画:みんな元気

内容は、妻に先立たれ定年になった男性が、成人した娘や息子の動向を探るのはそれまで妻の役割だった事に気付く。

今度は自分がやらなければならないと息子、娘四人を招集しようと、最高のワイン、新しいBBQセットを購入して家に呼ぶ事を計画するが、忙しくて誰ひとりとして来てくれない。それでは自分の方から、サプライズで子供達を訪ねようと計画を立てる。

ニューヨークでアーティストになっている息子、シカゴのビジネス界で活躍している娘、デンバーで指揮者になっている息子、ラスベガスでダンサーになっている娘達だ。

彼は、自分の教育方針が良かったから四人とも成功していると信じていた。ダンスに夢中だった娘も思い通り、それで身を立てているし、音楽好きな息子も指揮者になっていると信じていた。

ところが実際に訪ねてみると、どの息子も娘も忙しいと言ってなかなか時間を割いてくれない。その上指揮者になっていると思っていた息子は、気楽な打楽器の仕事で満足しているし、ダンサーの娘は、前の日まで主演していたと言うがそれも怪しい。その上隠しているが、未婚の母らしい。ニューヨークのアーティストの息子といったら、行方がわからない。

その子は麻薬のためメキシコで事件に巻き込まれているのだが、兄姉達は父親を怖れてその事実を隠している。結局、皆母親には本当の事を言っていたが、成功物語しか望まない父親には期待に応えられないから、いつも嘘を言っていたという事がわかる。

最終的には、父親が倒れて入院したため、初めて子供三人が集まり、彼の望んでいた家族が全部集まるという事が図らずも成り立つわけだが、画家の息子はメキシコで死亡したと知らされる。

それまで父親は成功する事しか期待していないと思っていたが、子供達に分かったのは、父親が望んでいたのは皆が幸福でさえあれば良かったという事だ。

彼は訪ねた息子、娘一人ひとりに、最後には“Are you happy?’と訊ねていた。

何よりも感動的なシーンは、退院した父親が死んだ画家の息子の絵を売っていた画廊を訪ねた時の事だ。子供達をプッシュしていたと反省していた父親に画廊の若い女主人が言う。

「デイビッドは、画家になれたのはお父様が励ましてくれたからで、『そうでなかったら、犬がおしっこをひっかけるような看板描きにしかならなかったと思う』
といつも言っていましたよ」

その言葉はいつも、父親が小さかったデイビッドに言い続けていた言葉だった。そして画廊の主人は、もしかして倉庫にまだ彼の作品があるかもしれないと探してくれた。一枚出て来た絵は、電柱と電線を描いた絵であった。

父親は定年までアメリカ中に電線を引く事を仕事にして、それをいつも誇りにしていたのだ。息子はそれを描いてくれたのだ。そこで父親も報われる、というほのぼのとした結末だった。

親と子供の意思疎通がなされる事ほど嬉しい事はない。子供は案外、親の思いを知らない。またとかく東洋人の親は子供をプッシュし、ただのジェムストーンをダイヤモンドにしようとしたりする。

ジェムストーンは磨けばそれなりに美しい。ダイヤモンドとは違う美しさを出すのだ。美しさが発揮できるのは、その子が自分のしたい事を見出した時だろう。

親が間違わないようにしなければならないのは、ジェムストーンをダイヤモンドにしよう、つまり、変える事のできない質を変えようとする事だ。親の役目は、その子供の生まれ持った原石を磨く事だ。

また子供が知らなければならないのは、親の望む事は、子供がそれなりに精一杯生きていてくれればそれで良いという事だ。この映画にあるように、案外子供に親の思いが伝わっていない事が多いかもしれない。

私自身、果たして子供にこのように生きて欲しいとちゃんと伝えているだろうか、その映画を見て反省した。

このごろ、クリメーションの広告が良く入って来る。という事は、もうあちらに行く用意をそろそろする時期なのかもしれない。大した財産ではないが、既にリビングトラストは作成した。今度は、精神面での遺言を書いておいた方が良いだろう。

この間、私の誕生日に娘から来たカードには、
「どんなシチュエーションでもその中で愉しむ事、いつでも人生をエンジョイする事を教えてくれてありがとう」
とあった。これは、パニックになりやすい娘に伝えておきたかった事である。少なくとも、娘がそうしようとしていることが見えて嬉しい。後は何だろう。

私の生き様、信条は、

「人生で経験する事には何一つ無駄はない事、与えられた場所で自分の花を咲かせる事、雲の向こうにはいつも神様の青空がある事、つらい事を通り越した時の喜びは最高の物である事、いつも人に与える姿勢である事、神様の前に責められる事のないような生き方をする事」

大した親ではないけれど、息子と娘にはこれを踏まえて確実に人生を歩んでほしい。

竹下弘美

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3 Replies to “親が子供に望むこと”

  1. 弘美さま

    いつも いつも 素敵な素敵なエッセイに“ウンウン”と大いに同意しながら読ませて頂いています。

  2. なんだか涙目で読み入ってしましました。
    心に響くメッセージが散りばめられた
    ステキなコラムを
    クリスマスプレゼントとして
    いただいた気分です。
    弘美さん いつも
    ありがとうございます。

  3. 弘美姉の「愛のひとさじ」を読んで、毎回心に感動を受けたり、涙を流して読むのは私一人だろうか?ごく身近な日常の出来事から、何も飾らない言葉で、こんなにも読む人の心を動かす弘美さんの文章力には、ただただ尊敬の念を抱くばかりです。
    弘美さんご夫妻と知り合えた事は、私にとっても私の家内や母にとっても大きな宝です。彼らの存在そのものが、私達家族にどれほど大きな喜びであり、時には慰めでしょう。彼らこそ「キリストの良き証人」ということが出来ます。神様が弘美さんに素晴らしい賜物をお与え下さっていることに、感謝します。

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