笑いの種 

私のトレードマーク

おっちょこちょいであることや、不器用なことは、私のトレードマークであるけれど、時にはそれを誇らしげに言うのであきれられる。あまりにも自分でも考えられないことをしでかすので、つい、他の人に公表したくなるのだ。

かつてそのようなことを売り物にしていた作家がいて、そういうことだけはしたくないと思っていたが、自分の愚かさがあまりにも意表をついているので、やはり、公表していっしょに笑ってほしい。笑いは精神衛生に良いのだから。

そもそも笑いとは他人の愚かさをきいて、自分の優越性を感じる時に生じる現象だという。落語がそうだ。たいてい、少しとろい人が出てきてその人の常識を逸した行動が、笑いの対象になる。

最近の傑作の一

前の晩に両方の目のコンタクトレンズを寝る前に取ったと思った。取った証拠にその直後に見たテレビのニュースが良く見えなかった。翌朝、コンタクトを入れたところ、左目があまりよく見えなかった。

その上、なんだか黒い点が飛ぶ。いよいよ視力が悪くなったのか、この黒い点が飛ぶのは、まだ、その年ではないと思っていたけれど、よくいう白内障の前触れかと、ガラにもなく珍しく落ち込んでいたが、もう一度、コンタクトをやりなおしてみてはと、左のコンタクトレンズを取ってみた。

両目で見た。よく見える。ただ、黒い点はまだちらつく。どうしたのだろうと、左目を触ってみると、なんとまたひとつ、コンタクトレンズが出てきたではないか。それを取り出してみたら、それにマスカラがついていた。黒い点のちらつきの原因は、それだとわかった。

かなり前から、レンズが左目のどこかに潜んでいたらしい。そういえば、だいぶ前に取ろうと思って探せなくてもしかしたら、もう取ったのかと思った時があったような気もしてくる。

「ああ、白内障でなくてよかった」と言うと、夫は「そんなことで、白内障だって言ったら、白内障に失礼だ」と私のひどさに慣らされているのでどこ吹く風。でもこなんことは誰にでもあるのではときいてみたら、「普通の人はそんなことしません」と友人に軽蔑の眼差しで言われた。

傑作の二

私は冬、日本でいうトレイナー上下をパジャマとして使っている。ベッドの上に畳んで置いておく。その晩は夫が先に寝ていたので、電気を点けては悪いので、手探りで、暗闇の中で着かえた。そういう時には電気を点けろと夫は言う。けれど育てられ方のせいか、O型のせいか、私はいつも他人のことを先に考えてしまう。私自身が灯りを点けられて、起こされたらいやだと思うし。

翌朝起きて驚いた。私はトレイナーの上の部分をズボンとしてはいていた。つまり、両足は両手の袖に入っていて、首の穴の部分が下になっていた。どうしてこんなことが起こったのか、たまたま、上着が二着置いてあったのだ。ズボンが残されていた。またその時のズボンのウエストは緩やかだったので、ウエストの緩さではわからなかった。

見えなくても普通の人だったら、着心地でわかりそうなものだ、と言われたが、鈍感な私は全然気づかなかった。我ながら驚いた私は、夫に「見てみて」と喜んで報告したら、夫はあきれてため息をついた。

たしかにそんな妻と生活することは、ため息ものかもしれない。でもこのごろは、味噌汁の味噌がかたまって出てくると、「あたり」とかわしてくれるようになった。昔の夫だったら、怒ったのに、もう見込みなしとあきらめたのかもしれない。

鈍感であることの利点

鈍感で良いこともある。痛さにも鈍感なことだ。三年ほど前、自転車から落ちたことがある。これもいまだに我が家の語り草になっている事件だ。その日は車をガレージから出して、そこで、夫と息子はホッケーの練習をしていた。

車をガレージから出したために、そこに昔、娘が乗っていた、フランス製のプジョーという競走用の自転車があるのが私の目に留まった。タイヤは細く、ハンドルは百八十度曲がっている。格好良い。それには乗ったことはなかったけれど、乗りたくなった。

運動神経がことさら鈍く、自転車に乗れるようになるまで、他人(ヒト)一倍かかった私だが、中学から、高校にかけて自転車通学をしていたから、自転車にだけは自信があった。

ちょっと、と思って乗ってみたら、我が家は丘のてっぺん。自転車は急スピードを出して坂をくだりだした。ブレーキを探したが、いつも普通の自転車にはハンドルの下にあるはずなのに、みつからない。自転車はますますスピードを上げていく。次の瞬間、私はよその家のドライブウエイにほっぺたで直地していた、痛さは感じなかったが、血が相当出ているようだった。

自転車をひきずりながら、ガレージの夫と息子のところへ行って「Look at me」と言った時の、こちらを向いた二人の驚きの顔は今でも忘れられない。

後からきくと、顔が血だらけなのに、私はにこにこして、立っていたというのだ。四時間くらい氷で湿布をしたが、その後、ずいぶん長い間、ブラックアイになった。

当座は痛すぎて痛みを感じなかったのかもしれない、と思ったが、友人に言わせると、普通は痛みを感じるものだそうだ。また普通はブレーキを確認してから、乗るはずなのにと息子に諌められた。

こんな妻や母親をもった家族も大変だが、笑いの種に事欠かないから、我が家は全員、精神衛生すこぶる良好。となると、これはとてもだいじな私の役割ではないかと、いつもポジティブな面しか見ない私は自分を励ましている。

竹下弘美

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2 Replies to “笑いの種 ”

  1. 弘美様
     わ~、ひどいな~。
    自慢じゃないけれど、私も相当ドジで何か失敗する度(もう、ショッチュウです。)自分で「バ~カ、ば~~か」と言いながらの毎日です。若い頃から、その名も”ドジケイ”
    でも貴女とは「ほど遠い。」足元にも及ばないような…気がします。
    自転車乗りで頬から着地されたのは怖くて見られないけれど、上着をズボンとして着用されていたのは見たかった~~!!
    そういう失敗談、どんどん教えて下さい。

  2. 弘美さん〜〜本当におちゃめで可愛い人だと心底感じました。特にトレーナーの上下逆だったのには爆笑させて頂きましたよ。私も0型でオッチョコチョイと言われますが、私だったらきっと電気をつけるか(旦那さんへの愛が最近目減りしているのでー)それかスイッチが遠かったら面倒だからつけないかも。 いずれにしても”サザエさん”を思い出し微笑ましくなりました。🚲自転車で血だらけになられても今は美しいお顔で傷が残らず本当によかったです。❤(ӦvӦ。) また楽しみにしていますょ〜

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