Taking Time | 人生をゆっくりと

男の子の就学年齢

秋の新学年が始まる第一日目の朝には、子供がキンダーガーテンの時から、必ず家の前で、登校姿の写真を撮ってきた。

上の娘が他州の大学に行ってしまったので、一昨年からは息子の写真しかない。また、昨年からの息子の写真は自分で車を運転するようになったので、運転席に座っている写真だ。

それも来年からは彼も大学で、家を出てしまうだろうから、この写真撮影は今年が最後だろう。思えば、ランチボックスを片手にかわいい姿だったのが、もう、運転手の親をいらなくなったのだから、嬉しいようで、寂しい。

息子がキンダーガーテンに入った第一日目は今でも忘れられない。教室の前で複雑な気持ちで待っていた、親達の前にドアがあいて、子供達がどっと出てきた。私と娘をみつけるやいなや、息子は走ってきた。「どうだった?」と私がきくと、「長すぎた」と泣きだして、手で涙をぬぐっていた。

たった朝の三時間だったというのに。二歳弱上の姉(当時六歳だった)が「お姉ちゃんもそうだったから、大丈夫よ」と思えばその時は日本語で(今では姉弟の会話は英語になってしまっている)弟を慰めていたのが、ついこの間だったような気がする。

その前の年にプリスクールで男の子の就学年齢について何回も、会合があった。男の子は女の子に比べて、成長が遅いから、カリフォルニアの場合だったら、ふつうは十ニ月が最終月だが、八月以降生まれの男の子は次の年まで、待つのが、理想だというのであった。

日本人の感覚からいうと遅らせるなどということはとんでもないことで、初めは合点がいかなかった。

実際、娘は九月末生まれで、キンダーに入った時は四歳。クラスで、かなり若い方だったが、女の子故か、何の問題もなかったから、なぜ、そんなことをとりたてていうのか、わからなかった。

それに日本の感覚だと、なにしろ、皆に遅れをとることなく、がんばってついていくことが大事のような教育を私達自身が受けてきた。

けれど、こちらで、一番、教育界で話題にする、セルフエスティームの観点からいくと、あえぎながら、皆のおしりにくっついていくよりもクラスの中で悠々と自信をもって過ごさせるべきだというのだ。

とくに先生が言った二つのことは、クラスで人気者はスポーツができる子で、それには年の差がかなり影響すること。また、十六歳になって運転免許を取る時も遅らせた子は一番先に取ることができ、何事にも自信がもてると言う説明であった。

八月末生まれの息子をどうするか

八月末生まれの息子をどうするか迷った末、なにしろ娘が行っていた、クリスチャンスクールの入学試験を受けさせてみた。

試験を受けた後、担当の先生は息子について「もちろん、今年、入学も可能ですが、もし、私があなたなら、後一年待たせますけど?そうしたら、クラスの中でリーダーシップをとってやっていける子になるでしょう」と言ってくださった。

なんだか納得せずに、公立のキンダーに入れてみて、やれなかったら、また、考えようと、とりあえず入学させた。

第一日目が前記のようであったように、その後、ボランティアで、私がクラスルームのお手伝いに行ったりすると、私の姿を見て「帰る」と言い出す始末。いわゆる早生まれで、一年違う子供達との精神的成長の差をまざまざと見せられた。

けれどプリスクールに後戻りするより良いだろうとキンダーを一年させてみた。そして、一年後に前年受けた、娘の行っていた私立のキンダーに入学。

前と同じ学校ではないから、落第したという想いもなく、それこそ、先生の言っていたように悠々と学業をエンジョイすることができたようだ。

いつもクラスで、最年長組みに入るので、リーダーシップをとることができ、運転免許はクラスの中で、一番早く取得。高校のジュニアの新学期にはすでに自分で、運転して登校できるようになっていたわけだ。

タイムオフ

娘は早くスタートさせてしまったので、大学のジュニアの今年、まだ、十九歳だ。その娘が、友人に電話をしている会話が耳に入った。二十歳を前に今まで目的のために邁進してきた自分は何なのかと悩んでいるというのだ。

「一年タイムオフしても良い?」ときいてきた。UCLAやバークレーに行った友人が皆、五年かけて卒業するという。自分は早生まれだから、その分、一年休学しても良いのではないかというのだ。

いままで、いつも先へ先へと考えてきた娘はこの夏も来夏のインターンシップのために良いサマージョブについていなければと自分で、仕事を探してきた。むしろ親の私が、社会に出るといやでも仕事に明け暮れるから、この夏休みくらい休んだら?と言ったくらいだ。

人生、長いようで、短い。なにも焦って走りすぎることはないではないか?そういう学生のために 「Taking a time off」という専門書も出されているそうだ。早くそして速く走ってきた娘にはじっくり休みをとってもらいたい。

「いいわよ。人生は一度だけだから」という私の答えに満足したのか、結局、彼女はジュニアの新学期に飛び立っていってしまった。

竹下弘美


にほんブログ村 「心のやすらぎ」ブログ へ
ライフスタイル・心のやすらぎ・ブログ・ランキングに参加しています。よろしければ応援クリックをお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)